新型コロナウイルス感染症の影響による実体経済の疲弊に対して、株式市場や暗号資産市場は盛り上がりを示しています。
特に、暗号通貨市場では、ビットコインが史上最高値をつけるなど、大注目を浴びています。
日本においても取引所コインチェックのCMが再スタートして、暗号通貨市場に新規参入する方も増えているのではないでしょうか。
そして、昨年の2020年10月、ブロックチェーン業界でかなりインパクトのあるプロジェクトが始動しました。
それが、Filecoin(ファイルコイン)。
ファイルコインは、米ナスダックが発表した「今後ビットコインを超える可能性を持ったアルトコイン3選」にも選出され、有名ファンドや企業からも高い評価を受けています。
まだ構想段階であった2017年に実施されたICOでは、約280億円を調達し話題を呼びました。
AI、IoT、5Gといった、あらゆる物事がインターネットを介して行えるようになるWeb3.0の時代、莫大なデータをどのように管理し、活用していくのか、という課題は、全世界共通のものと言えるでしょう。
それらの課題を解決できると期待されているのが、これから紹介するファイルコインです。Web3.0やインターネットの将来像にも触れつつ説明したいと思います。
目次
Filecoin(ファイルコイン)とは?
Filecoin(ファイルコイン)は、ブロックチェーン技術を活用した「分散型ストレージ」です。
Filecoin(ファイルコイン)のICOは、2017年8月に実施されました。
私たちのような一般の参加はできず、適格な機関投資家に限られていて、ICOでは、合計2億5,700万ドル(約280億円)を調達しました。
出資者・投資家の中には、『SEQUOIA』や『skype』、『ANDREESSEN HOROWITZ』、『Y Combinator』、『スタンフォード大学』、『ウィンクルボス兄弟』といった著名なファンドや投資家が名を連ねています。
中でも、世界最高位の私立総合大学である『スタンフォード大学』が参加したことが話題となりました。
分散型ストレージ
昨今のブロックチェーン界隈は、中央集権ではなく「分散型」がキーワードになっています。
「DAPP(分散型アプリケーション)」や「DEX(分散型取引所)」、「Defi(分散型金融)」は耳にしたことのある人も多いでしょう。
普段、私たちはメールやLINEで画像やドキュメントなどのデータを自由に送受信しています。
またそれらデータを自由にコピーして保存したり、再び送受信したりと、無限にデータが増殖しています。
そこで、データを管理するサービスとしてAWS(Amazon Web Service)やGoogle Cloudなどのクラウドサービスを活用している人も多いと思います。
一方で、そういった大手サービスにデータが一極集中している現状であり、サーバーダウンや情報漏えい、独占的地位による価格コントロールなどのリスクも介在しています。
昨今では、LINEの情報漏えい(中国)が話題となりました。
デジタルデータ世界のリスク回避と課題解決
先ほども、データの一極集中によるリスクを限定列挙しましたが、分散型ストレージはそれらのリスクを回避できる技術です。
スマートフォンやデジタルコンテンツの普及によるデジタル社会において、そのデータ量は加速度的に増加しています。
2025年の世界のデータ量は、175ゼタバイト(1ゼタバイトは10垓バイト)まで増加すると予測されています。
そのようなデータ社会において、Filecoin(ファイルコイン)は全世界の空きストレージを有効活用するサービスとして注目されているといえます。
現在、ほとんどの人が保有しているスマートフォンでは、個人個人で契約形態が違うものの、デバイスの中には空き容量が存在します。
その空き容量を他人に貸し出せるとしたら、いかがでしょうか?
256GB契約の方で、空き容量が半分以上ある方も多いのではないでしょうか?
もちろん、無料ではなく、データ量によって価格を変更するなど、価格の決定権は貸し出す側になります。
Filecoin(ファイルコイン)では、サーバーやデバイス等の空き容量を探してきて、その貸出を可能にします。
また、データを管理するサーバーを介さず個人間でのデータ通信ができるP2P(ピアツーピア)を通じて、ストレージの貸し借りも可能になります。
さらに、ストレージだけが分散化されるわけではありません。
大きな特徴としては、保存されるデータ自体も分散化される点です。
Filecoin(ファイルコイン)では、ブロックチェーン技術により、データを暗号化したうえで、データ自体を分解し、複数のストレージに分散させて保存することが可能なのです。
つまり、データの暗号化と分散化により、情報漏えいのリスクも回避できるわけです。
Filecoin(ファイルコイン)とIPFS
Filecoin(ファイルコイン)を説明するうえで、欠かせないのが『IPFS』と『マイニング』です。
そして、これら2つは分散型ストレージの基盤となるものであり、Web3.0の時代において期待値は高いですが、課題もあります。
IPFSとは?
IPFSとは、InterPlanetary File Systemの略称で、HTTPを補完すると期待されている通信プロトコルです。
現在のWeb2.0において、主要通信プロトコルはHTTPで、URLを指定するロケーション志向と呼ばれています。
[ https//meganezaru-eye.com/megane/saru.html ]を例にすると、 [ meganezaru-eye.com ]のあるホストサーバーの[ megane ]というディレクトリの中の[ saru.html ]というファイルを指定しています。つまり、そのファイルのある「場所」を指定しています。
この場合、その「場所」の管理が重要になります。
つまり、情報の管理者はその「場所」であるサーバーを24時間365日稼働させる必要があり、アクセス増に伴うサーバーダウンのリスクやURLを簡単に変更できないといったフレキシブルさに欠けます。
私たちは、普段から特に意識することなく、GoogleやAppleなどのサービスを活用しています。
利便性がかなり向上したのは事実ですが、GAFAに代表される大手企業に情報が集約されている現状であり、情報漏えいリスクも否めないのも事実。
そこで、それらの問題点を解決しようと開発されているのが「IPFS」。
すでに大手も採用を決めていて、今後に期待できる通信プロトコルの1つです。
HTTPでは「場所」を指定すると説明しましたが、IPFSでは「コンテンツ」を指定します。
例えば、「暗号通貨(仮想通貨)の歴史」に関する本が欲しい場合、ネット(Amazonなど)で検索したり、本屋に行ったりしますが、同じものがあればどこで買っても同じことですよね。
つまり、IPFSでは、ネットで情報を検索する際に、ある特定の「サーバー」という場所を指定するわけではなく、「暗号通貨(仮想通貨)の歴史」というコンテンツを指定できます。
コンテンツ指定の場合は、複数のサーバーで管理することになり、特定のサーバーに依存することなく、ある1つのサーバーがダウンしていてもアクセスすることが可能になります。
そのため、GAFAに代表される大手企業などはサーバーへの負荷を軽減し、万が一の情報漏えいリスクを回避するためにも、IPFSの技術には注目している状況です。
ファイルコインのマイニング
マイニングは、Filecoinに限らず、BitcoinやEthereumなどブロックチェーンを語るうえで重要な要素です。
ブロックチェーンは中央集権のように特定の管理者が存在しないため、不特定多数のマイナーがネットワークを支えています。
つまり、ファイルコインにおけるマイナーは、ストレージを供給する役割を担っています。
換言すれば、ファイルコインでストレージを貸し出すことはマイナーになることを意味します。
例えば、Bitcoinのマイニングでは大量かつ高性能なマシンが必要で、電気代などのコストも浪費するといわれています。
それはマイニングのルールに従い、ブロック生成のための「ナンス」というハッシュ値を見つけることが非常に難しいからです。
その難関な「ナンス」が見つからないとブロック生成ができず、私たちが送金したり、データ保存したりすることもできません。
そのため、大量かつ高性能なマシンに計算させて、マイナーたちは報酬を受け取るための「ナンス」を必死で見つけるのです。
少し話が脱線しましたが、ファイルコインのマイニングは、
- ブロック報酬
- ストレージ報酬
- 検索報酬
という3種類が主な特徴です。
ブロック報酬
データを整理整頓しブロックに保存、そして台帳記入することで得られる報酬。
ストレージ報酬
ストレージにブロックを保管することで得られる報酬
検索報酬
ユーザーが必要なデータをストレージ内にあるブロックから検索し、ユーザーに提供することで得られる報酬
以上のように、IPFSの通信プロトコルにおいて、ファイルコインのマイナーはストレージを供給するだけでなく、データを検索してユーザーに提供する必要があります。
保管していたデータを削除してしまったり、サーバー(デバイス)の故障で紛失した場合のリスクも考える必要があります。
つまり、ファイルコインのマイナーの果たす役割は重要かつ責任重大です。
Filecoin(ファイルコイン)のマイナーになるには?
先ほども、ファイルコインのマイナーの役割を説明しました。
ストレージを貸し出す側(マイナー)は貸し出す報酬としてFILを受け取り、反対に、ストレージを借りる側はFILを支払う必要があります。
しかし、しっかりとストレージ管理をしていなかったり、データを紛失してしまったりした場合は、報酬を受け取れないのはもちろん、事前に預けてある「担保FIL」を没収されてしまうペナルティもあります。
このような仕組みにすることで、マイナーが適正に活動するようになっています。
ただ、データ自体は、複数のマイナーに分散させて管理されているので、サーバー(デバイス)の故障によってデータ紛失したとしても、復元可能な仕組みになっています。
これが分散型ストレージです。
しかし、マイナーとしては、適正運用しながら、できればサーバー(デバイス)故障や通信障害などのリスクをヘッジして、ペナルティを発生させないように努めなければなりません。
現状、個人でマイナーになるためには、そういったリスクを回避しやすいところで、マイニングマシン(サーバー)を購入する必要があります。
全世界では、アメリカ、東南アジア、中国などを中心にファイルコインのマイニングを展開している事業者がいます。
ただし、
- 言葉の壁
- 現地を確認できない
- インフラ未整備
- 災害リスク
- カントリーリスク
といった要素から、マイナーとして不安材料も多いのも事実です。
また、日本の代理店の多くは、海外のマイニング購入の仲介であるケースもあり、不安材料の払拭にはなかなか至りません。
しかし、その不安を解決すべく立ち上がったのが「ZIPANG FIL」という国内のデータセンターによるマイニングプールです。
母体は、IPFS Infinite JAPANというデータセンターを運用している技術チームです。
ファイルコインのエクスプローラーである「FILFOX」においても実績を確認いただけます。
今後は代理店も増えてくる見込みですが、中でも力を入れているのが「ZIPANG FIL」ということで、詳細を以下記事にまとめましたのでご覧ください。

Filecoin(ファイルコイン)の購入方法!上場取引所を紹介
ファイルコイン(コイン名:FIL)は、多くの取引所に上場しています。
その数は2021年4月現在で59の取引所。
有名な取引所でいえば、Binance(バイナンス)にも上場されています。
ホワイトリスト化して日本の取引所に上場するのも時間の問題ではないでしょうか。
FILの発行上限は20億枚です。
- ファイルコインのマイナー(70%)
- Protocol Labs社(15%)
- ICO参加者(10%)
- ファイルコイン財団(5%)
が保有割合となっており、マイナーがその多くを占めることがわかります。
マイナーの担保FILの価格が高くなってしまう事由などもあり、一時期はProtocol Labs社によってFILの価格が抑えられていたとの噂がありますが、現在はFILの価格も高騰しています(2021年4月現在)。
現物の購入を検討されている方は、バイナンスなどの取引所を開設する必要があります(登録・開設は無料です)。
Filecoin(ファイルコイン)の今後の価格チャート予想と将来性
昨今、何十倍とFILの価格が上昇していて、CoinMarketCapの時価総額ランキングではファイルコインが10位付近まで上昇中です。
IPFSはWeb3.0と呼ばれていて、高い期待がある一方で、まだまだ解決していくべき課題はあります。
その大きな課題の1つとして、マイナーの数です。
Filecoinの設計自体、十分な数のマイナーがいることを大前提としています。
マイナーの数も増えつつありますが、「全世界」という規模のネットワークを考えた場合には、分散型ストレージという役割を完全に果たすことは現時点では難しいでしょう。
しかし、「ZIPANG FIL」をはじめ、日本でも初めてFilecoinのマイニングプールが作られています。
暗号通貨自体が徐々にビジネスでも使われ始めている昨今、将来のインターネットの姿、そして、ストレージの在り方としてのIPFSおよびファイルコインの期待値は高いといえます。
たとえば、代理店としてマイナーの啓もう活動をしていけば、価格競争という観点からもファイルコインのストレージサービスが、AWSやGoogleクラウドサービスにとってかわる日も近いかもしれませんね。
ファイルコインの情報を取得したい
ファイルコインやZIPANG FILなどのマイニング情報をご希望の方は、LINE公式アカウントに登録をお願いしています。
暗号通貨や投資に関する様々な情報を配信しておりますので、お気軽に追加してください。
コメントを残す